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カリオロジー
これは長崎県の情報誌【ナガサキタイムス】に「メディカルインタビュー」と題して連載された、AIインプラントセンター院長・春岡先生の記事です。(全12回)
NT ⇒ ナガサキタイムス記者
春岡 ⇒ AIインプラントセンター院長 |
| ■第7回 カリオロジーってなぁに? 〜新しい齲蝕治療、予防歯科の概念〜 |
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春岡先生こんにちは。実は最近ある雑誌で「カリオロジー、歯を削らない歯科治療」というのを目にしたのですが、これについて教えていただけますか? |
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おっと、カリオロジーが出て来ましたか。
最近は医療情報の言葉が患者さんに伝わるのが速いですね。 |
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なんでも虫歯を治療しなくても治っちゃうなんて書いてありましたが。 |
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う〜んその表現は困りましたね。 |
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困るのは、歯医者さんがいらなくなるからですか?
そうなると先生も仕事無くなっちゃいますもんねぇ。 |
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いやいや、そういう意味ではありません。
究極には医療とか、犯罪を取り締まる仕事とか、その様な仕事が必要でない世の中が理想ですが、無くなってしまう事はありません。
それは「健全な状態の維持と管理」という仕事があるからです。
あとで詳しく説明しますが削らない治療法という意味ではないということなのです。 |
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先走りをしてはいけないということですね。 |
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患者さんの環境の管理という話ですので、それを治療法として受け止めるとカリオロジーは理解出来なくなります。 |
■カリオロジーで歯を削る事が少なくなる!?
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カリオロジーは、言ってみれば齲蝕(虫歯)の実体をきちんと把握してコントロールしましょうという学問です。当然予防も重要。
しっかりした予防の中で、できた最低限の虫歯をほとんど削らず再石灰化させる事も治療の一つになりうる。
削る場合も最小限で、あのキーンとしたイヤな歯を削るタービンもほとんど使わなくて済みますよ、という学問なんですね。 |
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え?それって凄いじゃないですか。予防が大事なんですね。
でも、ハミガキは随分昔から大事だと言われているんじゃないですか? |
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そうです。
子供の歯の治療などでほんのわずかな虫歯であればレーザーでその部分を削りとって、シーラントと呼ばれる予防的な充填物をつめる事で虫歯が大きくならないようにする治療などは、とても効果的な使い方といえますね。
もっとも、多くの歯科医院でこれが普及するには、社会の人々が歯の病気の予防をしっかりして、あまり大きな虫歯が出来ないようにする必要がありますね。そうなって欲しいものです。 |
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それって大変そう。話しが難しいですね。たかが虫歯にそこまで考えるのですか。 |
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お、いいことを言いますね。(笑)
そんなことを言ったらこの研究をしている歯医者さんに叱られますよ。 |
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あ、すみません、以後気をつけます。 |
■現在はまだまだカリオロジーの徹底できる状態ではない?
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いえいえ。
ハミガキすら徹底できない今の歯科の臨床の現場では、虫歯の予防だけでそこまで対応できる状態ではないといえますね。
それこそ、綿密なカリオロジーっていうのは、とてもできない状態かもしれないのです。 |
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それでは、その治療法は日本では受けられないのですか? |
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私は、カリオロジーを治療法とは考えていません。
先ほど私がいった「状態の維持と管理」ってやつですね。 |
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先生。今日は話しが難しいです。 |
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カリオロジーは簡単なんですが、実は難しいのです。(笑) |
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益々わからない! |
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これまでの歯科医療や一般の医療に対する皆さんの考え方を根本的に変えないといけませんからね。 |
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どういう事ですか? |
■高い精度、高い材料の治療だけがよい歯科医療なのでしょうか?
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歯の良い治療って、セラミックの高い歯とか、ぴったりした精度のある治療とか、歯をつけた後はずれない治療とか、要するに修理と考えている部分が多いでしょう? |
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そうですね。 |
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もちろん修理がいいかげんなのは困りますが、本当は修理が必要のない状態にする事が大事ですよね。 |
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あ、そうですね。 |
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気付きましたね。本当はその様な管理や良い状態を維持する医療というのが大事です。
虫歯ができにくい環境、そして虫歯ができはじめても少し注意すれば元の状態に戻れるような環境を作りましょう、というのがカリオロジーです。 |
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やっと分かって来ました。しかし、虫歯ができても元に戻るって言うのは、虫歯が治るということですか? |
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そうです。その様な環境ができた場合、初期の虫歯は治る、つまり再石灰が起こる事がわかって来たのです。
日本でも一時流行した宣伝があったでしょう。芸能人は歯が命とか。 |
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アパタイトですね。最近、聞きませんね。 |
■虫歯(歯の脱灰)は再石灰化して治る場合がある
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そうですね(笑)。あれはちょっと拡大解釈がありましたが、あの理屈はこの再石灰化の事を言っていたんですね。下の写真と図を見てください。

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矢印のところに白濁しているところがある。これは歯の表面に近いところが脱灰(虫歯の始まり)したところである。 |
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削らずに1年間、再石灰化(虫歯が治る)する環境を作っていった。矢印の白濁もやや小さくなって再石灰化がおきたようである。 |
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このように歯が治るようにするのが 良い治療で、歯を削るのはもう時代遅れになるというわけですね。 |
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一足飛びにそう結論づけてしまうと 問題があります。
先ほど、現状ではその様な環境を作れる状態になっていないと言い ました。
今でも患者さんのほとんどが大きな虫歯や、歯槽膿漏で歯を無くしてから歯科医院に来る事が多いのです。
そのため治療の中心は、まだまだ修理が多い状態である事を忘れてはいけません。 |
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そうですか。では、未来の歯科医療の理想の姿がカリオロジーなのですね。 |
■長崎でもカリオロジーの地域的実践は始まっている
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ええ、そう考えてもいいかもしれません。
日本の歯科医療の一つの目標となって欲しいものです。
学問としてもたいへん優れていますし、実践の結果はスウェーデンなどできちんとした答えを得られている段階です。
長崎でもすでに実践を行い伊王島の子供達の虫歯をほとんど無くしている素晴らしい先生もいますよ。
各地で実践が始まっています。
でも、歯を削っているから悪いとか、古いとかいう段階ではありませんので、誤解のないように。
医療の変化には時間がかかるものなのです。 |
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素晴らしい歯科医療の時代が来て欲しいですね。今日はどうもありがとうございました。 |
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